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一般的な子育てアドバイスが効かないときに試してほしいこと。

新型コロナウイルスの感染拡大により、大人でさえ先が見えずに不安な日々を送る中、「見通しがないことが人一倍苦手で不安定になりやすい」パステルカラーの子どもたちの様子が気がかりです。

更には、通常より長時間子どもと接する事になるご両親が、子育ての中で追い詰められてしまっているのではないか、という事も気になっていました。そこで、発達に気になるところのあるPASTELカラーの子どもの個別療育などを行っている「こども発達療育相談PASTEL」からのメッセージ第八弾!

前回に引き続き「新型コロナウイルス」についての不安が強いパステルカラーの子どもたちに起きる様々な行動の変化への対応策について取り上げます。

今回は「一般的な子育てのアドバイスが効かないときに試してほしいこと」というお話です。

 


 

一般的な子育てのアドバイスとして「子どもが安心感を感じられるようにご両親からのハグを増やす」などの情緒的サポートも大切だと言われています。

パステルカラーの子どもたちが不安感を和らげるためには、情緒的なものよりも、前々回や前回の話に出たような没頭できる活動を取り入れるなどの現実的で具体的な方法のほうが気持ちを切り替えやすいんでしょうか?

 

なつみ先生
なつみ先生

そうですね。そもそもパステルカラーの子どもたちって、自分の不安な気持ちに気づいていないことがすごく多いんです。

 

一般的に、子どもの心が不安定になっている場合、「それはきっと不安なんだね」「つらいね」「悲しいね」「心配だね」という感情の共有がサポートになると言われていますよね。

 

そして、それはとても大切なこと。大人からすると新型コロナウイルスへの不安が引き金になって困った行動が出ているように感じられて、子どもに今の気持ちを聞いたとしても「不安じゃない」と言い張ってしまう子もいて。このやり方だけでは、うまくいかなくなることもよくあります。

 

「そんな行動をするのは〇〇くん(ちゃん)が不安だからだとお母さんは思うから、一緒にコロナのことについて対策を調べてみたら安心するかもよ?」と提案することで、お子さんの気持ちを違う角度からサポートできるようになります。

 

そして、あらかじめ子どもたちの不安の種類がどこから来ているのかを探っておくことも必要です。不安の種類が「未知なものに出逢ったときの不安」であれば、それは皆が抱えている不安なので、「あなただけじゃなくて皆同じなんだよ。お母さんも不安だからコロナに感染しないように気をつけているんだよ」と伝えておくと安心できるかもしれない。

 

さらに調べつくすのが向いているタイプなのか、逆に情報がたくさん入ると不安になるタイプなのか。その子の特性によっても方法を変える必要があります。そして大切なポイントは禁止をし続けないこと。「そんなに心配になるんだったら、ニュースもサイトも見なきゃいいじゃん!」とついご家族は言ってしまいそうになると思いますが(笑)。

 

まずは「不安だね~」と共感してあげて、対策を調べて安心する子だったら、親子で調べたものをノートにまとめておく。その後も気になり続けるようだったら、ノートを見ることで安心する活動につなげてみましょう。

 

もともとスケジュールで調べものの時間を設定している場合、その時間外に新たに気になることが出てきたりもすると思うんです。

 

そんなときに、ノートのようなツールがあれば、「今は調べる時間じゃないでしょ」などと否定するだけじゃなくて「明日の調べものの時間にそれを調べよう。ノートに明日調べることを書いておけば?」と、お子さんに肯定的に提案できるし次の日の適切な活動にもなるのでオススメです。

 

「明日のあの時間にまた調べられるからいいか」と子どもたちも納得できるようになります。

かおり先生
かおり先生

 

なつみ先生
なつみ先生

書字が苦手でなければ、「安心ノート」のようなタイトルの表紙を作って大好きな電車をガンガン貼るなども楽しいかも。

 

1個の不安を解消したらまた次の不安が出てくるような子たちも多く、それが過度になると、二次障がいと言われる強迫的な行動が増えてしまうことにもなりかねません。

 

だからこそ、パステルカラーの子たちが書くことや創作の中で不安を外に出すプロセスは、とても意味があることで。むしろ大人になるプロセスの中で、自分にとって不安な気持ちを切り替えることができるベストな方法を今から作っておくことが大切なんです。

 

パステルカラーのお子さんたちの中には、不安が強くイライラして自傷行為が増えたという話も耳にします。

 

なつみ先生
なつみ先生

長期休みの時期などは特に、自傷や自慰行為についての相談が増えますね…。こういった感覚刺激を求めがちになるのは、没頭できるものがなく暇で不安というサインであることが多いんです。

 

たとえば自分を叩いてしまう場合、その子が没頭できる好きな活動や、自慰行為であれば、あえて手を使わせる活動を取り入れてみると良いですよ。本人がしなくてもいい、ご両親が怒らなくてもいい状況に自然と持っていければ怒らずにやめさせるチャンスかもしれません。

 

ただその体力がお母さんたちに今あるかは心配なところですが…。たとえば先ほども話に出たノートを作るときに、「〇〇くん(ちゃん)用のノートの表紙を作ってみて」と、色んな道具を渡して作るよう促してみるなども暇なときの一つの活動になるので、そういうことからでも試してほしいです。

 

長期休校中のパステルカラーの子どもたちの一般的な子育てのアドバイスが効かないときに試してほしいポイントまとめ

  1. 情緒的なサポートも大切。「不安じゃない」と言い張ってしまう子には、より具体的な行動につなげられる違う角度からサポートも必要。
  2. まずはその子の不安の原因が何なのか探ること。調べつくすことが向くタイプなのか、不安な情報を入れないほうが良いタイプなのかで対応方法を変えてみる。
  3. 自傷や自慰行為などの感覚刺激が増えるときは、没頭できるものがなく暇で不安だから。代わりにその子が好きな活動や手を使った作業に取り組める時間を作ってみる。