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限界寸前のお母さんたちへ周囲ができること①

新型コロナウイルスの感染拡大により、大人でさえ先が見えずに不安な日々を送る中、「見通しがないことが人一倍苦手で不安定になりやすい」パステルカラーの子どもたちの様子が気がかりです。

更には、通常より長時間子どもと接する事になるご両親が、子育ての中で追い詰められてしまっているのではないか、という事も気になっていました。そこで、発達に気になるところのあるPASTELカラーの子どもの個別療育などを行っている「こども発達療育相談PASTEL」からのメッセージ第五弾!

今回は、ただでさえ孤立しがちなパステルカラーの子を育てるお母さんたちへの応援&味方を増やすべく、「周囲は何ができるのか?お母さんたちからの精一杯のSOSをキャッチする方法」についてのお話しです。

※このテーマは、次回に続きます。

 


 

自粛期間は、家族以外の人々と対面で会うことを制限されている状況ですが、家族や友人、支援者などが、どうしたら追い詰められたお母さんたちのSOSに気づけるでしょうか? 

 

なつみ先生
なつみ先生

苦しんでいるお母さんたちって、PASTELに来ているお母さんたちですら、本当に苦しい時に発信できていないことがすごく多いんですよ。

 

そんな中でお母さんたちが子育てに限界を感じているんだなと私たちが考えるひとつのサインは、お話の中で「こういうことをやってみたんですけど…」という風に、末尾に必ず「けど」がつくこと。

 

「やってみたんだけど、上手くいかなかったからもうやめた」とか。そんな風な言葉が出てくるお母さんは、専門家から聞いたことをやったけど、上手くいかないという経験を積んでしまって、成功体験を積めていないんですよね。

 

だから、それ以上の引き出しがなくなって、子育てをもうやめようと考えてしまうまで追いつめられたお母さんが出てきてしまうんです。

他にも「もう子どもが可愛くないんですよね」ってポロッと笑いながらでも言っちゃうお母さんは心配ですね。

 

子育ての困りごとに試行錯誤できている間は、まだその発言ってあまり出てこないんですよ。

かおり先生
かおり先生
なつみ先生
なつみ先生

竹野が言ったケースは、それでもまだSOSを発信できている方かもしれません。「子どもが可愛くない」と言えている時点で、分かってもらいたいと発信をしてる人。

 

いちばん気になるのは、否定の感情が強いお母さんたちかもしれません。周囲からの声かけに「いえ大丈夫です」と否定しまうと、助けてもらいづらくなってしまう。

 

もちろん全部ではないけど、そういう風に否定する方は身内にもっと大変な方がいるというパターンがありがちです。

 

たとえば、お子さんの健診で気がかりなことをこちらがお母さんに伝えても否定される場合、その子の兄弟にもっと手がかかるタイプの子がいたり、あとは旦那さんがDVだったり、貧困があったり…。

 

その背景には過酷な家庭環境があって、そのお子さん以上に気がかりなことがあるから「いえ、うちは大丈夫」と答えてしまう方もいます。

 

お母さんたちが追い詰められがちな要因として、休校中で給食がなく3食分の料理をする負担や、買い物も周囲の目が気になる状況のようです。

そんな中、「せっかく準備した食事を感覚過敏のある子どもがひと口だけしか食べない」
「1日中ゲームをして親の言うことを子どもが聞かない」「兄弟げんかで暴れる」などが毎日で、
つい連日のように大声で怒ってしまってさらに自己嫌悪…という話もよく聞きます。

 

なつみ先生
なつみ先生

正常な反応だよなぁと思います。こういったお母さんたちの状況って、圧倒的に理解してもらえる人たちと話せていない、というのが全てのテーマなのかなと。我が子を突き放さないといけなくなるくらいまで追い詰められていますよね。

 

そもそも専門家として気になるのは「もういいです、専門家から言われたことは、もうやりきりました」と言うしかないお母さんたちのこと。それは専門家との相性や、やり取りがスムーズに行っていない結果なのかもしれないけど…。そんなに捨てたもんじゃないよとお母さんたちには言いたいです。

 

私が地域の相談に入ったときによく聞くのは、お母さんたちもすでに知っているアドバイスをしてくる専門家について。「もう知ってるわ!やってみたけど、その次元じゃないんだわ!!」と(笑)。お母さんたちはその先が知りたいですよね。

 

その先へ導いてくれる、頼りになる専門家がそのお母さんの近くにいないという点はすごく残念だと思います。でも分かってくれる頼りになる専門家は必ずいるから、それを諦めないでほしいです。

 

長期休校中のパステルカラーの子どものお母さんのSOSに気づけるポイントまとめ

  1. 本当に苦しい時に発信できていないお母さんたちは多い。周囲がSOSを気にかけてほしい。
  2. 会話の中に「やってみたんだけど、上手くいかなかった」など、「けど」という言葉がよく出てきたり、たとえ冗談のように笑っていても「子どもが可愛くない」という言葉などは、お母さんたちからの精一杯のSOSの可能性がある。
  3. 最も注意が必要なのは、周囲からの呼びかけや配慮に「いえ私は大丈夫です」と、否定の感情が強いお母さんたち。
    その場合、過酷な家庭環境が背景にある可能性も。


 

子育てについて誰かに相談したいときには、下記のような相談先&社会資源があります。
お住まいの地域の該当先にお問い合わせをしてみましょう。

乳幼児~未就学児について相談したいとき

保健師

乳幼児~中高生のお子さんについて相談したいとき

子ども家庭支援センター
18歳未満のお子さんとその家庭を対象に子育ての相談に応じてくれる機関。

悩みごと別の相談先一覧(厚労省HP)http://shienjoho.go.jp

子育て支援短期利用事業(ショートステイ)
保護者の方が、傷病・看護・出張・育児疲れ・育児不安などで、子どもを一時的に育てることが困難になった時に、市が指定する施設で短期間(宿泊)、預かってくれる制度。