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家族が我が子の障がいを受け入れてくれない…どうしたら良い?

新型コロナウイルスの感染拡大により、大人でさえ先が見えずに不安な日々を送る中、「見通しがないことが人一倍苦手で不安定になりやすい」パステルカラーの子どもたちの様子が気がかりです。

 

更には、通常より長時間子どもと接する事になるご両親が、子育ての中で追い詰められてしまっているのではないか、という事も気になっていました。そこで、発達に気になるところのあるPASTELカラーの子どもの個別療育などを行っている「こども発達療育相談PASTEL」からのメッセージ第12弾!

「家族が我が子の障がいを受け入れてくれないという悩み」についてのお話です。

 


 

「お父さんが我が子の子育てに参加してくれない、障がい受容ができていない」と悩むお母さんたちが多いようです。このような場合、どう対応していくのが良いんでしょうか?

 

なつみ先生
なつみ先生

お父さんが子育てに関与しづらい理由には様々な要素があると考えられるので、一概には言えないんですよね。

 

たとえば、お仕事が忙しくて疲れているのかもしれないし、キャパシティの問題かもしれない。お母さんから見て、「お父さんは障がい受容ができていない」と思うときには、お父さんにとって向き合いたくないと思うような他の理由があるかもしれない。

 

ただ、PASTELに来てくださっているお母さんたちのお悩みとして、お父さんの理解が得られていないというのは、たしかによくあるケースなんです。そういう場合、お母さんが直接お父さんと話し合うというよりは、専門家の私たちとお父さんが話す場や状況を作ってもらうようにしています。

 

まず療育場所に来ることさえ拒むお父さんたちもいるんじゃないかなと。どうやってその場に来てもらうかが最初の難関になりそうですね…。

 

それまでにもくり返しご夫婦でお話をされてきたと思うので、「先生がお父さんも一緒にって言ってたよ」と、伝えてもらうこともひとつの方法として良いのかなと思います。

 

お母さんがお父さんに来てほしい、というのではなくて専門家の私たちがお父さんの同席をお願いしているということにしてもらえれば、一緒に来ていただきやすくなるかもしれません。

かおり先生
かおり先生

 

なつみ先生
なつみ先生

PASTELでは「障がい受容」とは言わず、脳のタイプに合わせた子育て方法の理解だと考えています。そういう伝え方をお父さんやご家族にしてもらえたら、少し印象が変わるのではないでしょうか。

 

「この子の障がいを受容して」というのはとても難しいテーマ。障がいかどうかは置いておいても、「この子とどう接すれば良いか」「この子が社会に出たときにどんな手助けをしてあげられたら良いか」などを知りたいのは親として皆さん同じ気持ちだと思うんです。

 

それに、頻繁に癇癪を起こしていたり問題行動がある子どもを前に、お父さんたちも本心はこのままで大丈夫だと思ってないと思うんですよね。だからお父さんたちにはまず「どんなことで困っていますか?」と聞きます。

 

その上で、どう工夫したら困りごとを減らせるかを伝えていくほうが、これまでの経験上、お父さんたちには響きやすかったんですよね。なので、自閉症の理解を促すというよりは、その子への関わり方の理解が結果、受容につながっていきやすいと感じています。

 

 

以前あったケースで、お父さん側の気持ちとしてとても心に残っているエピソードがあるんです。
事前に聞いていた話では我が子の障がいの話になるとお父さんがケンカ腰になるということでした。そのご夫婦が相談に来られて、一瞬お母さんが席を外した際に、お父さんの気持ちをお尋ねしてみたんです。

 

それまで私の話を特にリアクションなく聞いてたお父さんが「ふふふ」とやわらかく笑われて。そこでお話しされたことは、意外なお気持ちでした。「子育てが大変で妻が困っているのも理解している。ただ、妻も子どもの祖父母も、子どもが自閉スペクトラム症なんだと受け止めているからこそ、身内の中で誰かひとりでも『そうじゃない』って思ってあげたいんです」。

 

そう話してくれたお父さんとしては、他の子と大差ないんだと我が子のために言い続けてあげたいんだなと私なりに解釈してグッと来ました。家族それぞれの立場での理解や想いがあり、受容するプロセスやスピードはそれぞれ違うんですよね。

 

このお父さんのケースはあくまでも一例ですが、こういったこともあると知っていただけたら…。そしてお父さんやおじいちゃん、おばあちゃんの受容を優先度高く考えているお母さんも多いんですが、大人の理解を待っている間に子どもがどんどん成長してしまうので、優先順位としては、家族の受容よりも、お母さんたちには我が子の成長を最優先に療育やペアレント・トレーニングなど今できることを頑張ってほしいと考えています。

 

パステルカラーの子どもたちを取り巻く家族に特性理解を促すためのポイントまとめ

  1. 子どもの脳のタイプをお父さんや家族に理解してもらうためには、専門家を間に入れた方がスムーズ。
  2. お父さんたちには特に、自閉症についての理解を促すよりも、我が子の困りごとへの対応方法を伝えることから…。
  3. 家族の受容も大切だが、時間がかかりそうな場合には、まずは我が子の成長を最優先に考えましょう。