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長時間の在宅で親も子もイライラ、爆発寸前! そんな場合の対処法は?

新型コロナウイルスの感染拡大により、大人でさえ先が見えずに不安な日々を送る中、「見通しがないことが人一倍苦手で不安定になりやすい」パステルカラーの子どもたちの様子が気がかりです。

更には、通常より長時間子どもと接する事になるご両親が、子育ての中で追い詰められてしまっているのではないか、という事も気になっていました。そこで、発達に気になるところのあるPASTELカラーの子どもの個別療育などを行っている「こども発達療育相談PASTEL」から、メッセージをお届けします。

保護者の方からの困りごと相談で、PASTELに通っているお子さんたちについて、コロナ感染による長期休校前後ではどんな変化がありましたか?

 

かおり先生
かおり先生

「お子さんがイライラすることが増えてきた」という相談が増えてきました。
そもそも変化が苦手な子たちが、度重なる予定の変更が多い中、一日をどう過ごしていいか分からずに時間を持て余してしまうみたいで。

 

あとはご両親の実家にお子さんを預けることが増える中で、そのこと自体はありがたいんだけど、どうしてもお孫さん可愛さで生活リズムも含め自由度が高くなるようで…。自宅に帰ってきてからお子さんが自分をコントロールできなくて、お母さんがイライラしてしまうケースが増えている気がしますね。

長期休みになると、どうしても自由度が高い=ルールがない状況になりがちかなと。無法地帯の中で頑張っているお母さんたちはすでに充分褒められるべき存在です。でも育児や家事の忙しさの中で、お母さんたちがご自分を労わる時間さえ確保するのが難しくなっちゃうんです。

 

じゃあどうするのが良いかというと、いつ学校が始まっても良いように、まず朝起きて、ご飯、宿題、自由時間、夜寝るまでのお子さんの大枠のスケジュールを計画してみてほしいんです。できればお子さんが自分で決めるとより達成しやすくなるので、そうできるようご両親が誘導できたら…。

 

スケジュール通りにできると今度はお子さんを褒める機会にもなる。お母さんもお子さんも一人で過ごす時間っていうスケジュールを組んでおくと、その間お母さんがこっそりお笑いの動画を見てもいいし、ご褒美タイムを過ごせるようになれます。

 

そうやって親子でお互いに意識的に離れる時間を作ることが、メンタルヘルス上ですごく大事。規則正しい生活は、パステルカラーのお子さんであってもなくても私たち大人も含めて精神の安定につながるので、まず最優先すべきはそこかなって。

なつみ先生
なつみ先生
かおり先生
かおり先生

今までなかなか難しかったご家庭で、今回の長期休校をきっかけにスケジュールを取り入れたご家庭も出てきています。
良い方向にお母さんが頑張ってくださってるなぁと。

「TEACCH(ティーチ)プログラム」(※注1)でよく言われる「スケジュール」に関して、子どもを大人の都合でコントロールするイメージで捉えている方も多くて。でもそうではなく、子どもさんの精神安定につながるということをぜひ理解していただけたら…。規則正しい生活により見通しが伝わり、切り替えを促せるし、癇癪が減って精神安定につながるんです。

 

また、小学校低学年のお子さんで知的な遅れがなくても、朝昼夜の概念があいまいな子がよくいます。長期休みでどういうことが起きやすいかというと、動画を見続けていたり、朝起きる時間、食事の回数が乱れることで、お昼でも「今は夜?」って聞いてくるような事態になる。

 

そういう子には、朝起きたら朝食を、昼には昼食をという1日のリズムを整えることで、時間イメージが体感で伝わりやすくなるんですよ。

なつみ先生
なつみ先生

子どものスケジュールを組むのはお母さんの負担がすごく増えるように感じられるかもしれませんが、一番楽に始められるところから取り組んでもらえたら…。
それぞれの子の理解度により文字やイラストなど使うものが変わりますが、次の活動につながる物を見せることが大切なので、お茶を飲むならコップを、歯磨きだったら歯ブラシを見せる…そんな風に実物を見せるだけでも良くて。

 

キャラクターの入ったスケジュールカードが市販されているという話も聞くので、そういったものでも。お母さんの負担を増やすスケジュールではなくて、お子さんが自立して動ける量を増やすことで、お母さんの時間を生み出すためのスケジュール。親子共にイライラが減るようになるので、まずはそこから試してもらえたらと思います。

なつみ先生
なつみ先生

※注1:TEACCHプログラム…アメリカのノースカロライナ州で実施されている、自閉症などコミュニケーションに障がいがある子どもたちや、その家族に対する包括的対策プログラムの名称。

 

長期休校中の親子のイライラ予防ポイントまとめ

  1. 朝起きて夜寝るまでの、親子の大まかな1日のスケジュールを作り、事前に確認する。
  2. スケジュールは子どもを大人の思い通りにコントロールするものではなく、見通しを伝え精神安定につなげるもの。順調に進めば、それぞれ楽しめるご褒美タイムを作っておく。
  3. スケジュールはホワイトボードに文字やイラストや写真や市販のスケジュールカードなどで示す。もしくは実物でも良い。